第52回日本熱傷学会総会・学術集会

ご挨拶

会長 井上 貴昭

筑波大学医学医療系 救急・集中治療医学 
教授 井上 貴昭

 このたび、第52回日本熱傷学会総会・学術集会を主催させていただくこととなりました。伝統ある本学会の会長を拝命し、大変光栄に存じます。自身が約二十年にわたり研鑽を積んできた茨城県において、本学会が初めて開催されますこと、そして学研都市・つくばの地へ皆様をお迎えできますことを、心よりうれしく思っております。

 本学術集会のテーマは、『熱傷診療 KING & QUEEN ~みんなで繋ぐ熱い襷(たすき)~』です。熱傷診療は、救命処置や集中治療に始まり、感染制御、栄養管理、創管理、精神科的ケア、整容面への支援、さらには社会復帰に至るまで、幅広い知識と高度な専門性、そして多職種による緊密な連携が求められる医療です。形成外科、救急科、集中治療科、皮膚科、リハビリテーション科、精神科に加え、理学療法士、看護師、薬剤師、臨床工学技士、管理栄養士、社会福祉士など、多職種・複数診療科が対等な立場で協働する熱傷診療は、“究極の集学的医療”ともいえるものであり、集中治療領域の KING と位置づけられます。また、救命を目的とした緊急手術から感染制御、機能再建、整容再建に至るまでを担う外科治療の側面においても、“究極の再建医療”として、外科治療の QUEEN と表現することができるでしょう。本テーマ『KING & QUEEN』には、熱傷診療が医療のあらゆる領域を包含し、職種や診療科の垣根を越えてチームとして患者を支える医療の象徴であってほしい、という願いを込めました。先人たちが積み重ねてきた知識と経験の「襷(たすき)」を、次の世代へと確実につないでいくことも、本学会の重要な使命であると考えております。この襷は、自身が医師として歩みを始めた大阪大学からは、第4回・杉本侃会長、第17回・島崎修次会長、第28回・吉岡敏治会長、第42回・田中裕会長、第50回・織田順会長へと脈々と受け継がれてまいりました。その重みを胸に、本学会においても確実に未来へとつないでまいりたいと存じます。

 本学術集会の特別講演では、1988年ソウルオリンピック柔道銅メダリストで『女三四郎』と称された筑波大学体育系教授・山口香先生、女性宇宙飛行士の山崎直子先生、そして救急医として活躍され、現在 WHO Medical Officer としてスイス在住の角由佳先生によるライブ中継講演など、多彩なプログラムを予定しております。
 シンポジウムでは、SD1『ハイボリュームセンターに学ぶ熱傷診療のKING & QUEEN』として、国内の熱傷診療をリードする多職種の先生方をお迎えし、第一線施設で実践されている診療の工夫やノウハウをご紹介いただきます。SD2『レジストリー研究のKING & QUEEN』では、レジストリーデータから見えてきた新たな知見や可能性を共有し、データが切り拓くこれからの熱傷医療について議論いたします。SD3『創閉鎖療法のKING & QUEEN』では、近年目覚ましい進歩を遂げている特殊部位の創閉鎖技術に焦点を当て、最新知見と実践的課題について活発な討論を行います。
 また、パネルディスカッションでは、熱傷患者に最も身近に寄り添う多職種専門スタッフの皆様にご登壇いただくPD1『熱傷看護とリハビリテーションのKING & QUEEN』、熱傷診療教育の未来を描くPD2『新生・JBLSコース 〜熱傷教育のKING & QUEEN』、そして救命困難例を真摯に振り返り次の診療へとつなげるPD3・4『みんなで振り返るKING & QUEEN〜救えなかった重症熱傷症例』を企画しております。
 さらに教育講演では、『今さら聴けない、今から聴きたい教育講演シリーズ』と題し、熱傷診療の基本から最新治療までを体系的に学べる各学会共通講習・領域別講習を多数ご用意いたしました。熱傷の受傷から看取りまでを見据え、若手からベテランまで、あらゆる世代にとって実りある時間となるよう構成しております。

 開催地であるつくば市は、1985年につくば万博(国際科学技術博覧会)が開催された地であり、最先端の科学技術と豊かな自然が共存する研究学園都市です。筑波大学、産業技術総合研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など多くの研究機関が集い、「知」が日々生まれています。このつくばの地が、本学術集会の理念である「連携」と「協働」を体現する場となることを願っております。

 多くの皆様にご参加いただき、活発な議論と温かな交流が生まれる学術集会となることを心より祈念申し上げます。皆様のお越しを、つくばの地でお待ちしております。