ご挨拶
- home
- ご挨拶

日本外科代謝栄養学会第62回学術集会
会長 鍋谷 圭宏
千葉県がんセンター副病院長
(食道・胃腸外科/NST)
千葉大学医学部臨床教授
日本外科代謝栄養学会第62回学術集会開催にあたり
2025年7月3日(木)~4日(金)に開催させていただく日本外科代謝栄養学会(JSSMN)第62回学術集会(JSSMN2025)が目前に迫りました。先に述べましたが、術後代謝研究会として産声をあげた本学会は本年に設立60年を迎えます。この間に、医療そして医学は大きく進歩し、外科系の医師は内視鏡外科、acute care surgeryなどの新しい外科手術手技の習得に時間を要するようになりました。さらに近年の働き方改革の影響もあって、医師が周術期管理など外科総論の知識を学んで実践する時間が十分とはいえなくなりました。一方で、栄養サポートチーム(NST)などチームでの診療が各施設で整備され、専門職であるメディカルスタッフの知識レベルの向上は著しいものがあります。しかし、患者さんの診療では全職種がきちんと情報共有してチーム医療を行う必要があり、医師はリーダーシップをとらねばなりません。近年では、がん治療の成績を左右するような代謝栄養学の知見も得られています。従って、医師もメディカルスタッフも共に代謝栄養学を学ぶべき時代となったのです。今回の学術集会では、そのテーマ「教わり、学び、教える-外科代謝栄養学の伝承」の通り、代謝栄養学を何故学ぶべきなのか、学ぶ意義は何か、学ぶことが何故楽しいのか、それを伝えていただけるような特別企画を設けています。さらに、それぞれの分野で活躍されてきた先生方の特別講演・教育講演は、「教わり、学び、教える」上でのヒントになると思いますし、上級・一般演題いずれでも、多くの興味ある新知見が発表され、討論される予定です。これらの本学術集会での成果を、還暦を迎えた本学会のマイルストーンにして、来年からの新たな進歩に繋げていただきたいと願っています。
2023年より、JSSMNの学術集会は3年ごとにアジア外科代謝栄養学会(ASSMN)と合同開催されることになっており、来年は大阪で海堀昌樹教授が会長となり合同開催予定です。しかし本年は、合同開催でないにもかかわらず、International Sessionに海外から30題を超える応募をいただき、時間の都合もあり、全ての応募演題を発表していただくことが出来ませんでした。また、本年3月に韓国で開催された韓国外科代謝栄養学会(KSSMN)におきまして、お互いの学術団体の活動をより理解しようとの意向が確認され、私がJSSMNの紹介をさせていただきました。そして今度は、KSSMNのSeung-Wan Ryu理事長がPlenary LectureでKSSMNについて講演して下さり、JSSMN-KSSMN Joint Session でもそれぞれ3名ずつの演者が最新の研究成果を発表される予定です。また、今までにない多くのKSSMNのメンバーが参加して下さる予定ですので、海外の研究者との学問的・人的交流が進むことを期待したいと思います。そのために、今回のJSSMN2025では、上級演題のスライドは英語表記でお願いすることにさせていただきました。演者の先生方にはご面倒をおかけしますが、わが国の研究成果を海外の参加者にも見ていただくためにご協力のほどを宜しくお願い致します。
また、同じ会場で1日目には、第31回侵襲とサイトカイン研究会が例年通り開催され、夜には第12回消化器癌栄養療法セミナーも開催されますので、代謝栄養学を学ぶ機会が盛り沢山です。慌ただしいスケジュールの合間ではありますが、ささやかな全員懇親会も開催する予定ですので、参加者の皆様の学びと交流の場になることを祈念しております。
最後になりましたが、JSSMN2025開催にあたり、発表者・座長の先生方に加えて、千葉県がんセンタースタッフならびに春恒社を始め運営にご協力いただく関係各位、そして多大なご支援をいただきました企業の皆様に、心から感謝申し上げます。多くの皆様と東京でお会い出来ることを楽しみにしておりますので、重ねて宜しくお願い致します。
2025年6月吉日
この度、日本外科代謝栄養学会第62回学術集会(JSSMN2025)を、2025年7月3日(木)~4日(金)に東京で開催させていただきます。本学会は術後代謝研究会として1965年に設立され、1981年に日本外科代謝栄養学会と改称されて、2025年に60年を迎えます。このように歴史と伝統があり、この専門分野の学術的な議論の場として発展してきた本学会の節目にあたる年の学術集会会長の任を、私に与えて下さいました本学会役員はじめ全ての会員の皆様に心から感謝申し上げます。これまで、私の母教室である千葉大学第二外科(現 大学院先端応用外科学/食道・胃腸外科)同門では、1984年の第21回を当時の佐藤 博教授が、1996年の第33回を小越章平先生(高知医科大学第二外科教授)が、2001年の第38回を平澤博之先生(千葉大学救急医学教授)が、2012年の第49回を織田成人先生(千葉大学救急集中治療医学教授)が、それぞれ学術集会を開催されています。本学会の発展に貢献された偉大な先達には到底及びませんが、同門の一人として私もこの大役を大変光栄に存じますと共に重責に身が引き締まる思いです。
私は1985年に千葉大学を卒業し、当時の第二外科に入局し、小越章平先生が作られた生化学研究室で碓井貞仁先生、坂本昭雄先生のご指導を受け、初めて発表した全国学会が1988年の本学会第25回学術集会(阿部令彦会長)でした。当時は、一般演題も含めてセッションごとに全ての演者が壇上に上がり議論を交わす形式で、実は私はとても辛い時間を過ごしました。しかし、その時に先輩方に「教わり」激励されたことが糧になり、その後も多くの仲間と楽しく外科代謝栄養学を「学ぶ」ことが出来ました。ちょうど最近、学会のホームページも刷新されましたが、「本学会の歴史」に書かれている2010年から始まった教育セミナーに長く関わり、2014年の理事職拝命後は、織田成人先生の後を受けて教育委員会委員長として「教える」という仕事を任されました。こうした経験から、外科・救急領域の総論の知識と研究が如何に重要かを多くの医師に伝えないといけないと感じてきました。さらに最近では、この領域でもチームでの診療が必須となり、医師だけでなく歯科医師や多くのメディカルスタッフもこの代謝栄養学を学ぶべき時代となりました。そこで、今回の学術集会のテーマを「教わり、学び、教える-外科代謝栄養学の伝承」とさせていただきました。「教わり、学び、教える」どのステージの医師・歯科医師・メディカルスタッフも、これからの外科代謝栄養学の伝承について考えていただけるような学術集会にしたいと思います。ぜひ、皆様の実臨床での経験や多方面からの研究成果を発表していただき、活発な意見交換の場となりますよう、ご支援いただきたいと思います。
第62回学術集会の会場は、2023年の第60回と同じ東京のシェーンバッハ・サボーです。参加者の皆様にとって楽しく有意義な学術集会になりますように、誠心誠意準備して参ります。例年通り、7月3日には第31回侵襲とサイトカイン研究会も同じ会場で開催され、全国からのアクセスも良好です。多くの皆様と東京でお会いできますことを楽しみにしておりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
2024年8月吉日