第39回日本外傷学会総会・学術集会

会長挨拶

拝啓

 この度、伝統ある日本外傷学会の第39回総会・学術集会の会長を仰せつかりました日本医科大学千葉北総病院・救命救急センターの原義明と申します。開催会場としては全国会員のアクセスを考慮し、東京有明セントラルタワーホール&カンファレンスを選択しました。また、開催期間は2025年5月15日(木)・16日(金)の2日間とさせていただきました。

 本邦の外傷治療は1995年の阪神淡路大震災を契機に大きく舵が切られ、どこにいても・いつでも一定レベルの治療が受けられる環境を整えるべく外傷治療の「標準化」を目指して整備・改革が進んできました。救急救命士養成と手技拡大、メディカルコントロール体制の確立、トラウマレジストリーの普及、JATECやJPTEC等の外傷初期診療コース開催、ドクターヘリやドクターカーなどの搬送体制の整備、トラウマバイパス概念の浸透などです。しかし多くの事業が一定の成果を上げる中で、未だ外傷センター整備だけが遅々として進んでいないのが現状です。改革着手から四半世紀が経過しても、何故、外傷センターの整備だけが捗々しくないのでしょう。改めてさまざまな視点から何が問題かを会員の皆様と議論し打開策を検討したいと考えています。

 また、改革当初に目指した「標準化」の基準も時代と共に大きく変わっています。当時最善であると考えられた治療が、今では推奨されないものとなっていることは多々あります。新しい知見、技術を取り入れ、「標準」の修正も逐次行なってゆく必要があります。そのため今回の学術集会のテーマを「Beyond The Theory」としました。既存の常識を疑い、最善の外傷治療の変革を促進することが重要だと考えるからです。

 2024年は大災害からスタートしました。これまで以上に外傷医療の重要性は着目され、本学会の真価が問われると自認しています。会員の皆様におかれましては、ぜひ現地に足を運んでいただき、活発な議論ができるべく準備を進めて参ります。

謹白

会長 苗字 名前

第39回日本外傷学会総会・学術集会
日本医科大学千葉北総病院
 救命救急センター/ショック・外傷センター

会長 原 義明