第51回日本熱傷学会総会・学術集会

会長挨拶

 このたび、第51回日本熱傷学会総会・学術集会を令和7年5月29日(木)・30日(金)の2日間、石川県立文化ホール(金沢市)にて開催する運びとなりました。当教室にとりましては、第13回(塚田貞夫前前教授)、第33回(川上重彦前教授)に続いての主催となります。再び伝統ある本学術集会を担当させていただくことは、金沢医科大学形成外科学教室にとって大変名誉なことであり、厚く御礼申し上げます。
 今回の学術集会のテーマは「去来今」としました。「去来今」とは禅の思想や詩歌における概念で、「過去、現在、未来」を表します。この言葉は、時間の流れや変化を含む全体的な存在を示し、過去・現在・未来の三つの時間が一体となって存在していることを示唆します。それらの時間の中で人間の存在や行動が繰り広げられることを強調します。特に禅の文脈では、過去や未来にとらわれず、現在の瞬間を重要視することが教えられています。
 熱傷学会が50回を経て、次の50年に向かうにあたり未来に目を向けることは重要ですが、その前に「今ここ(今此)」の現在をしっかり踏まえることが大切だと考え「去来今」をテーマとしました。
 近年、熱傷治療においてはさまざまな治療法が開発され、実臨床の場に導入されています。この5年間の治療の進歩はめざましく、熱傷治療のgame changerとなりうる治療もあります。第51回の学術集会では、この百花繚乱の治療法についてディスカッションできればと思います。また、未来の熱傷学会の方向性についても議論できる場を設けたいと考えています。次の50年、さらに熱傷学会が発展することを目指していきたいと考えます。最後に「去来今」についての詩句で締めくくります。

去来今、時の流れに心を預け
一瞬一瞬が永遠の如く
禅の心に生きる者よ、
今ここに全てを感じよ。

 この詩句は、過去・現在・未来の時間を超越し、現在の瞬間を深く感じ取ることの重要性を強調しています。来年の学術集会でお会いしましょう。

会長 島田 賢一

第51回日本熱傷学会総会・学術集会
金沢医科大学形成外科学 教授
会 長 島田 賢一