ごあいさつ
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第52回日本マイクロサージャリー学会学術集会
会長 岡崎 睦
東京大学大学院医学系研究科外科学専攻
感覚・運動機能医学講座 形成外科学分野 教授
このたび、2025年11月27日(木)28日(金)の日程で、第52回日本マイクロサージャリー学会学術集会を開催します。東京大学形成外科学教室に、学術集会主催の機会を与えていただきました会員の皆様に深く感謝します。今回のテーマは「醫の原点に回帰する」としました。諸説ありますが、醫の意味するところは、医術を行いながら、奉仕し、癒しを与えるという意味だそうです。今回の学術集会で、「われわれマイクロサージャンが、患者のために何かできるのか?」を、あらためて考える機会になればと思っています。
言うまでもなく、医療によって恩恵を受けるのは患者さんです。マイクロサージャリーの技術も然りあり、それによって輝くのは患者さんであってマイクロサージャンではありません。医療において最も重要なことは、患者の希望を聴き、それに沿う結果を高い確率で安全に得ることができる治療(手術)を行うことです。その治療法がfree flapを用いた再建であれば、free flapの移植は良い結果を得るための手段に過ぎず、さらに言うと、微小血管吻合やfree flapの挙上は、free flapを移植するための手段にすぎません。つまり、マイクロサージャリーは目的ではなく手段の一つに過ぎないこと認識することが「醫の原点に回帰する」ためのスタートであると考えています。たとえば、どれだけ細い管をつなげるかの技術を競うより、より良い結果をもたらす管を準備して、それを高い確率で安全につないで開存させ、より大きな治療効果を低侵襲で得ようとする姿勢が医療の本質であることは、「自分や自分の身内が患者だったら」と考えれば、簡単に到達できるところです。
私事になりますが、若い頃は、いわゆる再建・マイクロサージャリーが自分の性に合わず、実は、ずっとこれから逃げ回っていました。とうとう観念して、これを本格的にやり始めたのは医師13年目のことでしたが、やっているうちに、良い結果を得るための強力な手段の一つとして活かすことを考えるようになりました。マイクロサージャリーの分野で活躍されている先生方は、医師になってすぐから高いモチベーションを持って、これを極めてきた方が多いと思いますが、本学会の学術集会は毎年開催されますので、たまには「かつてマイクロサージャリーから逃げ回っていた現マイクロサージャン」が会長になることを容認していただき、そういう会長の作った企画も楽しんでいただけたらと思います。
「醫の原点に回帰する」をテーマとして粛々と学術集会を開催したいと考えておりますが、これは一個人の考えに過ぎませんし、多様性を尊重する世の中です。いろいろな学術企画を予定していますし、多様多種の意見を持った先生方が様々な意見を述べ、本学術集会で活発に議論することが学術集会の意義と考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。